頻度→態度の因果関係 ~単純接触効果(ザイアンス効果)~

社会心理

みんな大好き単純接触効果

心理学なんて知らないよという方でも,単純接触効果(ザイアンス効果)なら聞いたことがあるのではないでしょうか。その内容はいたってシンプルです。

単純接触効果:
繰り返し提示されると,その対象への好感度が増す。

マーケティングや恋愛の指南書ではしばしば単純接触効果が登場します。テレビCMが何度も商品の名前を言うのは商品へのイメージをよくするためだ,とか,意中の相手には頻繁に連絡を取った方がいいとか,そういうのです。

内容のわかりやすさ,応用のしやすさが人気の理由なのでしょう。しかし,単純接触効果の内容をそれ自身にあてはめてみると,こんな仮説が浮かんできます。

単純接触効果が人気なのは,それが繰り返し提示されているからである。

悪ふざけといえばそうなのですが,元研究を読みながらちょっと考えてみようと思います。

 論文紹介

Zajanc, R. B. (1968). Attitudinal effects of mere exposure. Journal of Personality and Social Psychology, 9(2), 1–27.

問題の所在

我々は嫌いなものより好きなものを,よく使ったり見たりします。つまり,「態度→頻度」の因果関係はかなり自明です。

しかし,よく見るから好きになることがあるかは自明ではありません。この研究では,この「頻度→態度」の因果関係が存在するかに焦点を当てます。

手続き

実験参加者は,ミシガン大学の学生です(人数不明)。

参加者は,男性の顔写真12枚を提示されます。
提示回数は,0,1,2,5,10,25回のいずれかです。

提示終了後,それぞれの写真の男性について,好感度を7件法で答えます。

顔写真はミシガン大学の卒業アルバムからとってきたそうです

結果・考察

  • 顔写真12枚のうち9枚で,提示回数が多いほど好感度が高くなっていた。
  • 12枚全体で分析しても同様の傾向があった。
  • 好感度は,対数関数的に上昇するという傾向がみられた。

提示回数に応じて好感度は上がりますが,その効果はだんだん弱くなっていくようです。

論文中には4つの実験があって,今回ご紹介したのは実験3です。
だからという訳ではないと思いますが,参加者の人数や分析の詳細が書かれていないのが惜しいところです。

まあそれなりには使えそうですが

「頻度→態度」の因果関係は確かにあるようです。ただし,効果はどんどん弱くなっていきます。

そう考えると,単純接触効果に頼りすぎない方がいいかもしれません。特に,恋愛であれば,接触回数が10回や20回を超えるのなんてすぐでしょう。マーケティングに関しても,誰にどの程度重複してアピールすべきかは,結構考えた方がよさそうです。

ここで,冒頭で私が(雑に)掲げた仮説を再考してみます。

単純接触効果が人気なのは,それが繰り返し提示されているからである。

単純接触効果は,指南書や自己啓発本によく出てきますが,そこまで深堀はされていない印象です。つまり,その名前が出てくるのは,入門書や比較的概説的な本に限定されているという気がします(違っていたらすみません)。

読書家の方であれば,ある程度入門書を読んだらもっと詳しい解説書に移ります。そこまでではない方は,いくつか読んでそれで終わりでしょう。どちらにしても,単純接触効果という名前に接する機会は,数回~15回程度に収まっていると考えられます。この範囲であれば,単純接触効果は十分に威力を発揮して,好感度を上げてくれそうです。

単純接触効果を最も効率よく使いこなしているのは,単純接触効果自身かもしれないですね。

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