出先だったこともあり，夕飯の支度が億劫だったので外食することにしました。
そんなに飲食店が多い地区ではなかったので少し時間がかかりましたが，ラーメン屋があったので入ってみました。「独自の味で勝負！」というよりは，「それなりの味をそれなりの値段で」という雰囲気です。少し疲れているときは，こういう落ち着く店のがありがたかったりします。
メニューを見てみると，醤油ラーメンや味噌ラーメンなど当たり障りのない顔ぶれです。無難に醤油でいいかなと思っていると，変な文字列が目に飛び込んできました。
レモンラーメン
意味がわからないので，それを頼んでみました。
ラーメンは競争が激しいから，色々奇抜な工夫があるのはわかります。しかし，メニューでは全く強調されていません。真顔で変なことを言えば笑ってくれると思っているのでしょうか。
「まあ，こってり系ラーメンとかだとテーブルにレモン汁はよく置いてあるし，案外程よくさっぱりしたのがくるかな‥」と思っていると，店主がどんぶりを渡してきました。
醤油ラーメンの上に，輪切りのレモンが6枚浮いています。
直球すぎて，何も言えません。
味も，何とも言えませんでした。レモンの酸味はまったくスープと合っていません。レモンだけをかじってみても，ぬるくなっているので爽快感はゼロです。後味に苦みだけが残りました。仕方がないので，レモンをよけて麺を粛々とすすります。
幸い，麺までレモン味ということはありませんでした。輪切りから出たレモン汁が全体に回る前にさっさと麺を平らげます。スープも少し飲みましたが，大逆転の気配はありませんでした。諦めたら試合終了なのでしょうが，引き際の見極めだって同じくらい重要です。私はそっと箸を置きました。
この一件から私が得たのは「醬油ラーメンに輪切りレモンは合わない」という教訓です。また一つ賢くなったとご機嫌で店を出たところ，冷たい風が吹いて過ぎました。春先とは言え，寒い日はまだまだ寒いなと思いました。
あの味で700円は高かったな，とも思いました。
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